法人保険・賠償責任/建設業
外壁塗装や屋根塗装の工事中、「隣の駐車場の車に塗料が付いている」と連絡を受けたら、どう対応すればよいでしょうか。
塗料飛散による車の汚損では、付着状況の確認、車の所有者への説明、元請会社への報告などを並行して進める必要があります。塗装業者や工務店、一人親方が落ち着いて対応するために、初動と保険の確認ポイントを整理します。
塗料飛散が疑われたときの3STEP
被害の拡大を防ぐ
付着状況と工事の記録を残す
元請会社と保険の窓口へ報告
STEP1 作業を止め、被害の拡大を防ぐ
塗料が飛散している可能性があれば、関係する塗装作業をいったん止め、風向きや養生シートの状態、周辺の駐車車両を確認します。
車の所有者には、申し出を受け止め、状況を確認することを丁寧に伝えましょう。所有者の了解を得ずに車を移動させたり、カバーを掛けたりすることは避けてください。
国土交通省の橋梁塗装の事故事例でも、養生範囲や風の確認不足が原因として挙げられ、車両カバーは所有者の了解を得て取り付ける対策が示されています。
STEP2 付着状況と工事の記録を残す
安全を確保したうえで、所有者の了解を得て、車全体と塗料の付着箇所を撮影します。近くからの写真だけでなく、工事現場と駐車場所の位置関係も残しておくと、状況を説明しやすくなります。
記録したい内容は次のとおりです。
- 申し出を受けた日時と、付着に気づいた時刻
- 当日の作業場所、作業方法、使用した塗料
- 風向きや天候、養生の状態
- 車の駐車場所と付着箇所
- 作業担当者、現場責任者、所有者の連絡先
原因が分からない段階では、「自社の塗料に違いない」「工事とは無関係」と決めつけず、確認できた事実と未確認の情報を分けましょう。
STEP3 元請会社と保険の窓口へ連絡する
下請として施工している場合は、元請会社や現場責任者に報告し、所有者への連絡窓口をそろえます。複数の担当者が別々の説明をすると、話が行き違うことがあります。
加入先の保険会社・代理店には、工事内容、付着状況、所有者からの申し出、撮影した写真などを伝え、必要な資料と今後の進め方を確認してください。
車に付いた塗料を、その場で落としてよい?
「少し拭けば落ちそう」と思っても、自己判断でこすったり、溶剤を使ったりする対応は避けましょう。車の塗装やコーティングへの影響も考え、所有者と相談し、専門業者による確認につなげることが大切です。
清掃や補修の方法・費用は、付着の状態を確認してから整理します。所有者へのお詫びや状況説明は丁寧に行いながら、確認前に「全額払います」「保険で必ず直せます」と約束しないようにしましょう。
塗装工事の賠償責任保険で確認したいこと
近隣の車への塗料飛散について相談する際は、「建設業の保険に入っている」という説明だけでなく、実際の作業を具体的に伝えることが重要です。
- 外壁・屋根塗装など、施工内容が契約に合っているか
- 吹付け、ローラーなどの作業方法を伝えているか
- 元請・下請・一人親方のどの立場で施工したか
- 被害を受けた車が誰の所有物か
- 塗料飛散による汚損について、契約上の扱いはどうか
- 自己負担や支払限度額、必要資料は何か
補償の可否は、事故の原因や責任関係、契約内容によって異なります。事故が起きてから探すことのないよう、連絡先も現場ごとに共有しておきましょう。
養生は「掛けた後」の確認も大切
作業開始前だけでなく、風が変わったときや作業場所を移すときにも、養生の隙間や周辺車両の状況を確認しましょう。
国土交通省の事例で示された養生範囲の見直し、シートの点検、風向き・風速の把握は、外壁塗装の現場でも防止策を考える参考になります。現場条件に合わせ、作業を中断する判断を誰が行うかも決めておくとよいでしょう。
近隣の車を養生する際は、所有者の了解を得て、車の状態も確認しましょう。工事前後の記録があると、付着箇所や状況を整理する際に役立ちます。
住宅地で塗装工事を行う際も、近隣への事前説明と現場ごとの養生確認を、日々の作業に組み込むことが大切です。
この記事は一般的な情報提供を目的としています。事故の責任関係、補修方法、保険の補償対象や保険金の支払いは、個別の状況と契約内容によって異なります。関係する専門業者や加入先の保険会社・代理店へご確認ください。
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参考資料(2026年10月14日確認)
- 国土交通省 関東地方整備局 港湾空港部「令和5年度 事故発生事例」(PDFの3ページ目「塗料が飛散し自動車に付着」)
橋梁工事の事例を、防止策の参考として使用しています。