労災・建設業
内装工事やリフォーム、設備の取り付けでは、脚立を使う場面があります。「少し手を伸ばせば届く」「短い作業だから」と進める前に、足元と作業方法を確認したいところです。
建設会社や工務店が備えたいのは、従業員のケガだけではありません。倒れた脚立や落とした工具がお客様の設備に当たれば、工事中の賠償責任も確認が必要になります。今回は、脚立作業の安全対策と、建設業の保険を整理するポイントをご紹介します。
脚立を使う前に、別の方法で作業できないか
最初に考えたいのは、「この作業に脚立が適しているか」です。両手を使う取り付け作業や、横方向へ力をかける作業では、足元が安定しにくくなることがあります。
厚生労働省・労働局の資料でも、脚立の使用を決める前に、作業台など、より安定して作業できる用具の検討を促しています。作業時間だけで判断せず、姿勢・必要な力・工具や材料の重さから選びましょう。
たとえば、天井材を持ちながら固定する作業なら、材料の支え方や受け渡し方法も含めて計画します。作業台へ変更する場合も、設置場所や製品の使用条件を確認することが大切です。
内装・改修工事で確認する3STEP
STEP1 作業に合う用具を選ぶ
手が届かないからといって、脚立の天板に立つ前提で作業を組まないようにします。一般的な脚立の天板には乗らず、製品表示や取扱説明書に従ってください。無理に身を乗り出す必要があるなら、用具や作業位置を見直します。
STEP2 床と周囲を整える
水平で安定した場所に設置し、開き止めや滑り止め、部材の破損を確認します。床の養生材が滑らないか、脚の下に端材がないか、近くの扉が開いてぶつからないかも確認しましょう。通路と作業場所を分けることも、接触事故の予防につながります。
STEP3 昇降と受け渡しを決める
工具や材料を手に持ったまま昇り降りしない方法を決めます。「誰が材料を渡すか」「位置を変えるときはどう声をかけるか」を、元請・下請で共有してください。届かない場所は、いったん降りて用具を移動し、安全な姿勢を取り直します。
従業員のケガと、お客様の物の損害を分けて確認
建設業の保険は、「脚立の事故」という名前だけで確認するより、誰にどんな損害が出たかを分けると整理しやすくなります。
自社の従業員がケガをした場合は、公的な労災保険に関する手続きと、加入している民間保険の確認を進めます。下請会社の従業員や一人親方が被災した場合は、所属や働き方を整理し、それぞれの加入状況を確かめる必要があります。
一方、倒れた脚立でお客様の窓や設備を壊した場合は、工事の賠償責任に関する契約の確認になります。「従業員の傷害への備え」と「他人への損害への備え」は、確認する内容が異なります。
事故に備えて、保険証券とあわせて、対象者・対象工事・連絡先を一覧にしておくと相談が進めやすくなります。元請の保険がある場合も、自社や下請の作業がどう扱われるかを事前に確認しましょう。
POINT
「短時間だから脚立でよい」と決めず、用具・床・作業姿勢をセットで確認しましょう。
安全対策を整えたうえで、ケガをする人と損害を受ける物を分け、保険の契約内容を確認することが大切です。
注意書き
本記事は一般的な情報提供を目的としています。安全対策は現場条件や用具の取扱説明書に従い、必要に応じて専門家へ確認してください。労災保険の適用・手続きや、民間保険の補償範囲・保険金のお支払いは、働き方、事故状況、契約内容等により異なります。個別の確認が必要です。
参考資料(2026年11月2日確認)
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